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トーチライト Issue 2022: Local? トーチライト編集部(編) - トーチ
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トーチライト Issue 2022: Local? (トーチライト イシューニーゼロニーニー ローカル)

社会一般
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発行:トーチ
B5変形判
縦230mm 横182mm 厚さ1mm
重さ 365g
160ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-9912925-0-7   COPY
ISBN 13
9784991292507   COPY
ISBN 10h
4-9912925-0-6   COPY
ISBN 10
4991292506   COPY
出版者記号
9912925   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2025年3月7日
最終更新日
2025年3月7日
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紹介

未来をつくり、声を届ける ―― 自分たちの言葉で紡ぐローカルからの実践

「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」をテーマに活動を続けるウェブメディア"トーチライト"が待望の書籍化。クラウドファンディングCAMPFIREで257万円超の支援を獲得した本書は、地方と東京、オンラインとオフライン、継続と革新の境界を越えて活動する多彩なクリエイターたちの実践と思考を丁寧に紐解いていきます。
本書が問いかけるのは、単なる「地方創生」や「ていねいな暮らし」のハウツーではなく、現実と真摯に向き合いながら持続可能なものづくりを実践する姿勢と覚悟です。インディペンデントな活動を継続するための知恵と工夫、時に直面する苦悩と乗り越え方を、6つのインタビューと3つのトークセッションを通して立体的に描き出します。
DJ・プロデューサーのtofubeatsは「自信はなくても、本場じゃなくても、自分のためにつくり続ける」という姿勢を語り、UNTAPPED HOSTELの神輝哉は地元に根を下ろして得られた「つくって生きていく」手応えを共有します。タバブックスの宮川真紀は「『仕方がない』に逃げないものづくり」の重要性を説き、400年の歴史を持つ和ろうそくの職人・大西巧は伝統と革新の狭間での試行錯誤を、そしてeastern youthの吉野寿は「気に入らないなら、自分でやるしかない」というインディペンデント精神の神髄を伝えます。
さらに、「地方、東京、サイゼリヤ。移ろうインターネット"的なもの"」「勢いと協働、メディアとコミュニティ」「地域について、低体温で語り合う」の3つのトークセッションでは、創作者たちが本音で交わす対話から、ローカルとグローバル、個人と共同体、継続と変革の関係性について新たな視座を提示します。
本書は、SNSの情報過多やトレンドの中で見失いがちな「自分たちの言葉でつくる」意義を再確認させてくれるでしょう。地方での創作活動に悩む人、インディペンデントな表現を模索する人、持続可能なクリエイティブワークを追求する人に、具体的な実践例と哲学的な問いを同時に提供します。
単なる成功事例集ではなく、試行錯誤の過程そのものに価値を見出し、そこから未来を共創していくヒントを探る――それがこの一冊の核心です。創作の持続可能性、ローカルからのものづくり、インディペンデントな活動を「やめない」ための知恵が詰まった、現代の創り手たちに向けた必携の書です。
東京中心の文化や消費に疑問を持ち、自分の足元から新しい価値をつくり出そうとするすべての人に、この本は確かな指針と勇気を与えてくれるでしょう。それは、「どこにいても、つくってゆかいに暮らす」ための、具体的かつ実践的な航路図となるはずです。

目次

6:PREFACE
LOCAL?

12:INTERVIEW_01___ tofubeats
自信はなくても、本場じゃなくても、自分のためにつくり続ける。何かいいことが起きるまで。

32:INTERVIEW_02___ 神輝哉 (UNTAPPED HOSTEL)
地元に根を下ろすことで得られた、「つくって生きていく」覚悟と手応え

50:TALK_01___ 東信伍・鉄塔・さのかずや
地方、東京、サイゼリヤ。移ろうインターネット”的なもの”

62:INTERVIEW_03___ 宮川真紀 (タバブックス)
言葉のその先を、信じているために。「仕方がない」に逃げないものづくり

80:INTERVIEW_04___ メーン会場 (冷凍都市でも死なない / 屋上)
「良い消費」より「小さな生産」を。できるだけ多くの「死なない」のために

98:TALK_02___ inkyo・wanu・さのかずや
勢いと協働、メディアとコミュニティ - 『クラブと生活』の実践

108:INTERVIEW_05___ 大西巧 (和ろうそく 大與)
手を動かせば、未来は変わる。受け継ぐ意志を守るもの

124:TALK_03___ tomad・瀬下翔太・さのかずや
地域について、低体温で語り合う

136:TEXT_01___ 高木晴香
地元が嫌いだった私が、好きになれないまま、この地の未来を考える。

140:INTERVIEW_06___ 吉野寿 (eastern youth)
気に入らないなら、自分でやるしかない。心を殺さず生き抜くために

前書きなど

2020年。東京都杉並区荻窪に住んでいたぼくは、善福寺川沿いを往復するいつものジョギングコースを走りながら、会社の名前について考えていた。桜が大方散ったころ、東京は4月でももう湿気がまとわりつく。5kmほど走り、自宅マンション近くで足を緩めたときに、ふと、ひとつの松明が燃えている情景が頭に浮かんだ。その松明は、森の中で、海辺で、湿原で、ひとつ静かに燃えていた。人と協力したり、多くの人と一緒に何かをするのが得意じゃなくても、自分の望
まない未来を避けるために、自分の望む未来を実現するために、ただひとりでも闘志を燃やし続けていられる人。たとえ弱くても、周りに仲間が見当たらなかったとしても、力強く、そう簡単に消えない炎を宿している人。そんな人と手を組んでいきたいという思いがあった。
最近この国でよく使われる「ローカル」という言葉がある。英語の”Local”には「場所の、土地の、(特定の)地方の、地元の」といった意味があるという。日本語では「地方の」とか「田舎の」というイメージが強いが、本来は地方だろうが都会だろうが、特定の場所や土地に根ざしているものを指す。

「ローカル」とはなんだろうか?ぼくの地元の北海道遠軽町にも、いっとき住んでいた東京都港区六本木にも、岐阜県大垣市にも、東京都渋谷区代々木八幡にも、いま住んでいる北海道札幌市中央区にも「ローカル」はある。「ローカル」について語るとき、現在形の場合は「ローカル」の良いことや悪いこと、振り返る場合は幾分かのノスタルジーと合わせて語られることが多い。しかしぼくらは特定の場所のことだけでなく、クラブカルチャーのような特定の場所に紐づかないコミュニティや、「なんとなくTwitterで関わりを持っている範囲」というよくわからない空間について良し悪しを語ることもあるし、あの頃のインターネットにさえノスタルジーを感じることもある。ここでの「ローカル」は、単に都会か地方かといった単純な区分けを大きく超えた、ぼくたちが何らか拠り所としているもののことを指すように思う。

ただひとつ言えるのは、このときどこかで誰かが「つくる」行為をおこなっていることである。コミュニティは「つくる」行為を中心に生まれる。それは目に見える有形のものでも、もっと抽象的な無形のものでもあるだろう。自分や自分たちの考えをなんらかの形で世に問うことは、非常に勇気の要る営みである。ただその形が時代の芯を捉えたものであれば、必ずそこにコミュニケーションが生まれ、新しい「ローカル」が生まれる。そうして生まれた「ローカル」は、たとえ集
まって燃え上がるものでなくとも、永遠に続く居場所でなかったとしても、ひとり燃える創作者たちの拠り所のひとつになり、いつか懐かしく振り返る故郷になるものでもあるだろう。思えばいわゆる「地方」も「田舎」も、本来はそういうものではなかったか。

 ネルソン・グッドマンは「創作の『正しさ』は、その創作に紐づく信念と指針によってもたらされる」と言った。短命な思念と長命な指針、両方があるところには正しさのある創造があり、そこには新しい社会の結節点と新しい居場所が生まれる。そこに「ローカル」がある。ぼくたちが掲げている「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」という目標には、そういう
意味が含まれる。

なんかいろいろ難しいことを書いたが、ぼくたちは「ローカル」の新しいあり方を問いたい。この考え方は、2020年から5年、10年の射程で、きっと未来のぼくたちにも語りかけうるものであると信じている。そのときにはきっと、いまより心地よい「ローカル」と、「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」ことの自由が実現している、その仲間がいまよりももっと増えていることを信じて。その未来は、この本が手元に届いたあなたと共に「つくる」ことができると、ぼくは信じている。

めちゃくちゃ茨の道だと思うけどね! よろしくお願いしますね!

版元から一言

「トーチライト Issue 2022」という名の通り、この書籍は2022年にまとめられ、2023年に発売したものです。ですが、さまざまな(本当にさまざまな)紆余曲折があり、流通に乗せることができたのが、はるかに時間が経ったいまのタイミングとなってしまいました。

私が「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」という言葉を掲げ、故郷の北海道で会社を設立したのは2020年になります。2023年に書籍「トーチライト」をなんとか出しましたが、書籍を完成させた時点で、私の気力と資金が限界に達してしまい、それから1年以上の間、私は別の仕事をし、会社は休眠状態にありました。

「どこに住んでいても、つくってゆかいに暮らす」というのは、難しいことを言っていないのに、実現するのが本当に難しい。真正面から取り組んでみたものの、自分の身をもってその難しさを知り、一度すべての活動を休止していました。

でも、 「第一号」ではなく、あえて「Issue 2022」としたのは、この書籍がその時代の空気をしっかり捉えられた実感があり、そして、だからこそ、簡単に古くならないだろうと思ったからでした。すっかりポストコロナになった現在であっても、コロナ期間に新鮮に感じられていたことは未だに新鮮さを持ち、初めてお読みいただく方にも、いま改めて読み直していただく方にも、変わらない気づき、そして新しい気付きがあるものだと感じています。

「それでもつくって生きていく人のための インタビュー/トークマガジン」という言葉を携えるこの書籍は、変わり続ける現代の状況の中でも、何かを制作することをひとつの拠り所にしたい/せざるをえない、あなたやわたしたちのための書籍、あるいはひとつの居場所として、小さな種火を絶やさずに、静かに燃やし続けていきます。

上記内容は本書刊行時のものです。