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新版 雪に生きる 猪谷 六合雄(著) - カノア
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鍬谷     ト・日・他     書店
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新版 雪に生きる (シンパン ユキニイキル)

文芸
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発行:カノア
四六判
縦194mm 横139mm 厚さ40mm
重さ 600g
560ページ
上製
定価 3,100円+税
ISBN
978-4-910029-00-9   COPY
ISBN 13
9784910029009   COPY
ISBN 10h
4-910029-00-1   COPY
ISBN 10
4910029001   COPY
出版者記号
910029   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年12月1日
書店発売日
登録日
2021年10月7日
最終更新日
2023年3月27日
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書評掲載情報

2023-10-31 LOCKET  第6号
評者: モリテツヤ(汽水空港)
2022-03-30 日本経済新聞    夕刊
評者: 細馬宏通
2022-03-05 信濃毎日新聞    朝刊
2022-02-15 上毛新聞  朝刊
2022-02-10 文藝春秋  3月特別号
評者: 本上まなみ
2022-02-06 上毛新聞    朝刊
2022-01-15 山と渓谷    2022年2月号
評者: 時見宗和
2021-12-02 新文化  第3395号
2021-11-25 暮しの手帖  2021年12月-2022年1月号
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紹介

圧倒的な感動と共感を呼ぶ、昭和18年の名著を新装復刊しました!
著者の猪谷六合雄(いがや・くにお)は1890年、赤城山・猪谷旅館の長男として生まれました。生来の手先の器用さに加えて、何でもやってみる、何でも作ってみるという好奇心と情熱のかたまりのような人物で、10代のころからスケート、水彩画、油絵をはじめて、小さな組み立て小屋や飛行機の模型を作り、丸木舟を彫りました。
23歳の冬、粉雪の上に見慣れない二本のシュプールを見つけたことがスキーとの出合いでした。板と金具を自分で作って、毎日毎日粉雪の山へ出かける。そうやって、独学でスキーの技術を習得していきました。薪の上を偶然飛んだことがきっかけで、スキージャンプにも夢中になります。雪を求めて国後島、赤城山、さらに乗鞍へと移り住み、その先々でジャンプ台やゲレンデを建設し、世界に通用する練習法と指導法を確立しました。現地の人々と交流し、創意と工夫のつまった小屋を建て、薪ストーブなどの生活用具を作り、毛糸編み靴下まで開発するのでした。
そんな著者の半生を綴った、圧倒的な感動と共感を呼ぶ稀有な生活記録が本書です。さまざまなできごとが、丁寧な描写とみずみずしい筆致で描かれています。本人が撮影した当時の貴重な写真と小屋の平面図39点を収録し、読む者の心をとらえて離さない独自の世界観を再現しました。
昭和18年(1943年)に初版本が刊行された本書は、これまで新潮文庫(1955年)や岩波少年文庫(1980年)など、じつに7社が文庫化や復刊を繰り返してきた名著です。この『新版 雪に生きる』は、『定本 雪に生きる』(1971年)を再編集し新装復刊した新版です。

目次

第一篇 赤城山時代
一 スキー揺籃時代
二 スキー行脚
三 スキージャンプ入門
四 スキージャンプ練習時代
五 二つのジャンプ大会
六 赤城山を出る
七 北海道へ渡る
八 阿寒附近
九 摩周湖

第二篇 千島時代
一 千島へ渡る
二 古丹消へ移住する
三 畑を作る
四 島の魚
五 鼠の話
六 二年目の冬
七 靴下の表
八 島の思い出
九 老漁夫の死
十 小屋の火事
十一 滝の下の小屋
十二 膝関節の半脱臼
十三 千島を去る

第三篇 再び赤城山時代
一 再び赤城山へ
二 湖に親しむ
三 万座、白馬
四 山歩きとゾロ
五 闇夜の山下り
六 雷
七 ヒマラヤ入りの計画
八 最後の冬
九 千春入学
十 湖で溺れた人

第四篇 乗鞍時代
一 番所へ移る
二 野麦へ
三 小屋を作る
四 第二の冬
五 乗鞍とスキー
六 ゲレンデの藪払い
七 石割り
八 大町の大会
九 乗鞍のスキー春夏秋冬
十 新コース
十一 頂上のゲレンデ化
十二 盗人君を泊める
十三 日光の大会
十四 最後のシーズン?
十五 子どものしつけ
十六 私と鏡

第五篇 山小屋その他
一 私の山小屋について
二 小屋二つ
三 薪切り台
四 着物の順序
五 靴下の表の説明

前書きなど

自序
 私は先日、徳川義親氏の「きのふの夢」という随筆集を、大変面白く読んだ。
 私のこの貧しい生活記録もまた、私にとって、きのうの夢であるかもしれない。これを今時局下に振り返ってみると、我ながらその生活目標が、悠長かつ不徹底であったように思えるが、しかし、その時々に、一つ一つ事柄に対しては、全く、工夫と精進の生活であったとも思える。
 私たちは多くの場合、わずかな時間の無駄も惜しんでよく働いた。それはスキーばかりでなく、大工をしても、編み物をしても、畑を作っても、ほとんどいつも全人格的な情熱を打ち込んで精進を続けてきたと思う。
 無論、その間には、多くの油断も隙間もあったに違いない。しかし、今は重大時局である。私たちはただいたずらに過去を嘆くのをやめて、一切の力を国に捧げなければならない。
 では今の私たちに何ができるだろう。どうせ、ろくなことはできないかもしれないが、私たちにはまだ多少の情熱がある。採るに足る程のものでなくとも、まだ、工夫と精進を続けて行く力は残っているはずだ。
 これをどこへ集中したら、一番役に立ち得るか。
 私はこの稿の後半に至って、この重要問題を解決し、生活目標をより明確にしておいて一倍の努力をもって、新しく発足したいと念願した。
 しかし、貧しい智慧を絞ってみても、それはなかなかやさしいことではなかった。だが、いろいろと思案したあげく、腰の浮かない自らの足元を掘るに如かずと気がついて、ようやく、一まず結論に到達した。私自身としては、その結論に信念を持っているつもりだが、万一間違っていたらどうしよう。
 その時は、私たちの使い残した唯一の財産、工夫と精進する生活を持ってどこへでも出て行こう。

昭和十八年十月 猪谷六合雄

版元から一言

ながらくブームが続く自然回帰やキャンプなどのアウトドア志向、SDGsの取り組みの浸透、コロナ禍の新しい生活様式、被害が深刻化する気候変動、多様と同調を重視する複雑な社会構造など、否応なく変化する時代を生きるわたしたちに、本書は夢に向かう朗らかで軽やかな姿勢、工夫と精進の大切さ、お金に縛られない自由な精神を教えてくれます。
鴨長明『方丈記』、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』、そして『新版 雪に生きる』は、不安定な時代に生きる現代人にこそ読んでほしい生き方指南の定番書です。

著者プロフィール

猪谷 六合雄  (イガヤ クニオ)  (

猪谷六合雄(いがや・くにお)
自然ととも生き、生涯を暮らしの工夫と精進に費やした。日本スキーの草分け、先駆者と呼ばれ、長男の千春を冬季オリンピックの日本人初、さらに現在においてもアルペンスキー種目唯一のメダリストに育てあげる。明治23年(1890年)に群馬県の赤城山で旅館を営む家に生まれた。生来の手先の器用さに加えて、なんでも自分で作ろうとする好奇心と情熱のかたまりのような人物で、ジャンプ台、ゲレンデ、スキー金具、練習方法、毛糸編みの靴下の開発などから、家族の住む山小屋や薪ストーブなど生活用具の数々まで、独学で習得した知識と経験を活かして、身のまわりのあらゆる物を自作した。趣味の絵画や写真の技量は素人の域を超えており、文筆活動も精力的にこなした。71歳で自動車の運転免許を取得し、自ら改装したキャンピングカーの車内で生活しながら全国を旅した。明治、大正、昭和を生きた20世紀の傑物。昭和61年(1986年)死去、享年95歳。
交遊関係は幅広く、高村光太郎との家族ぐるみの付き合いや志賀直哉、里見弴、柳宗悦ら白樺派との交流もあり、皆それぞれの猪谷六合雄を文章に残している。六合(りくごう)とは、天地と東西南北の六方、つまり全宇宙という意味もあります。

上記内容は本書刊行時のものです。