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武者の世が始まる 松尾 葦江(編) - 花鳥社
.
軍記物語講座 1

武者の世が始まる

発行:花鳥社
A5判
308ページ
上製
価格 7,000円+税
ISBN
978-4-909832-21-4
Cコード
C1095
教養 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年1月30日
書店発売日
登録日
2020年1月18日
最終更新日
2020年2月14日
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紹介

文化は貴族の独占物ではなくなった―武者の世の輝きと危うさを見渡す。

文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交えた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。

目次

 まえがき●早川厚一

◆Ⅰ 東国の疾風 将門記・陸奥話記・後三年記
東国の武士たちと軍記●志立正知
 歴史学における武士論の展開/河内源氏と東国―『陸奥話記』の虚構―/源義家と東国の武士たち/為義と義朝―東国武士の組織化―/「氏文」にみる武士の自己認識/問題の所在―歴史学と軍記研究―

『将門記』を拓く●佐倉由泰
 『将門記』と「吏の漢学」/『将門記』の記述の成立のしくみ/『将門記』における在地の表現/『将門記』における秩序の表現/おわりに

『陸奥話記』冒頭考―『今昔物語集』を視座として―●蔦尾和宏
 『陸奥話記』の諸本/『今昔物語集』の書承傾向/第二類本という存在

時代社会を映す鏡としての『後三年記』―王朝国家期の領土広域化現象―●野中哲照
 はじめに/領土広域化現象と〈真衡東遷〉/領土広域化現象と〈遠方婚〉/『将門記』から『陸奥話記』を経て『後三年記』へ/領土広域化現象の萌芽/おわりに

◆Ⅱ 王都の合戦 保元物語・平治物語
悪左府頼長の近習たち―『台記』の記述に主拠して―●原水民樹
 藤原成隆/源俊通・菅原登宣・藤原重綱/橘以長

半井本『保元物語』の山田小三郎是行譚を読む●早川厚一
 半井本に見る、重複や類型あるいは同型描写の繰り返しについて/是行は、なぜ一人で為朝に挑みかかろうとしたのか/是行の内甲を狙った矢は、なぜ為朝の弓手の草摺に当たったと記されるのか/為朝はなぜ鞍の前輪と是行を射貫き、さらに尻輪で止まる矢を射たのか/おわりに

半井本『保元物語』源為朝関連話群と〈伝説〉の創出●阿部亮太
 はじめに/問題の所在/為朝最期の脚色/落首の創作/為朝の謀叛という虚構/他作品における為朝と頼朝/おわりに

『保元物語』の諸本とその展開・物語の洗練ということ
―学習院大学図書館蔵九条家旧蔵本をめぐって―●清水由美子
 はじめに/学習院大学図書館蔵九条家旧蔵本について/分巻の形と冒頭の言葉をめぐって/九条家本の改作と思われる記事の検討/今後の課題/おわりに

『平治物語』一類本諸本の関係について―源家後日譚を中心に―●小番達
 はじめに/本文比較(一)―[松]の後出性―/本文比較(二)―四本の関係性―/本文比較(三)―[資]の本文変化―/おわりに

四類本『平治物語』の生まれた時代―〝室町ことば〟と〝室町ごころ〟―●谷口耕一
 はじめに/四類本成立の時代―〝室町ことば〟をめぐって―/四類本の描き出した世界―お伽草子的世界への接近―/おわりに

『保元物語』『平治物語』における版本の挿絵の展開
―流布本本文と絵の照合から―●滝澤みか
 はじめに/文字が示す世界と絵が見せる世界の違い/おわりに

消えた平家郎等●佐々木紀一
 はじめに/民部大夫為長/八幡美豆資綱/草香党/和田平太/おわりに

◆Ⅲ 王に勝る果報 承久記
承久の乱と歴史叙述●長村祥知
 はじめに/承久の乱の政治史的研究/僅少な同時代史料/『六代勝事記』/『承久記』諸本と近年の論点/おわりに

慈光寺本『承久記』の世界観―嘆きの不在―●大津雄一
 王の敗北/めでたいこと/四劫と三千仏/『愚管抄』/『水鏡』/軍記物語/歴史の物語り方

『遠島御歌合』における後鳥羽院と旧臣たち
―出詠歌と歌合の意図をめぐって―●吉野朋美
 はじめに/出詠者の閲歴/出詠歌と後鳥羽院の判詞/初学とのかかわりから見る構成・判詞/おわりに

  *  *  *
軍記物語年表(一)●山本岳史

 『保元物語』『平治物語』の代表的な諸本系統について
 あとがき●松尾葦江
 執筆者紹介

前書きなど

本書の書名は『愚管抄』の有名な一節―保元の乱以降「武者ノ世ニナリニケルナリ」から採った。平安末期から徐々に実力を蓄え始めた武士たちは、次第に中央政界へ参入し、単なる警備軍団ではなく、やがては「王ニ勝ル果報」(慈光寺本『承久記』)を自認するに至る。(「あとがき」より)

著者プロフィール

松尾 葦江  (マツオ アシエ)  (

1943(昭和18)年神奈川県生まれ。博士(文学)。
専門は日本中世文学、特に軍記物語。
主な著書:『平家物語論究』(明治書院、1985年)、『軍記物語論究』(若草書房、1996年)、『軍記物語原論』(笠間書院、2008年)、『文化現象としての源平盛衰記』(編著、笠間書院、2015年)、『ともに読む古典 中世文学編』(編著、笠間書院、2017年)など。

志立 正知  (シダチ マサトモ)  (

秋田大学理事・副学長
著書・論文:『『平家物語』語り本の方法と位相』(汲古書院、2004 年)、『〈歴史〉を創った秋田藩―モノガタリが生まれるメカニズム―』(三弥井書店、2009 年)、「近世地誌にみる〈いくさ〉の記憶」(『文学』第16 巻第2 号、岩波書店、2015 年3 月)など。

佐倉 由泰  (サクラ ヨシヤス)  (

東北大学教授
著書・論文:『軍記物語の機構』(汲古書院、2011 年)、「軍記物語の表現史を構想するために―真名表記テキストに着目して―」(『文学』第16 巻第2 号、岩波書店、2015 年3 月)、「中世の列叙―世界を表象する知の祝祭―」(『文学・語学』第222 号、2018 年5 月)など。

蔦尾 和宏  (ツタオ カズヒロ)  (

専修大学教授
著書・論文:『院政期説話文学研究』(若草書房、2015 年)、「称徳天皇と道鏡―『古事談』巻一巻頭話考―」(倉本一宏編『説話研究を拓く』思文閣出版、2019 年)、「『今鏡』の成立―「すべらぎの下・二葉の松」考―」(『国語国文』76 巻3 号、2007 年)など。

野中 哲照  (ノナカ テッショウ)  (

國學院大學教授
著書・論文:『後三年記の成立』(汲古書院、2015 年)、『保元物語の成立』(汲古書院、2016 年)、『陸奥話記の成立』(汲古書院、2017 年)など。

原水 民樹  (ハラミズ タミキ)  (

徳島大学名誉教授
著書・論文:『『保元物語』系統・伝本考』(和泉書院、2016 年)、「『台記』注釈 久寿二年」(徳島大学総合科学部『言語文化研究』10 ~ 13 巻、2003 年2 月~ 2005 年12 月)、「『保元物語』の生成と変容の場」(『日本文学』58 巻7 号、2009 年7 月)など。

早川 厚一  (ハヤカワ コウイチ)  (

名古屋学院大学名誉教授
著書・論文:『平家物語を読む』(和泉書院、2000 年)、『四部合戦状本平家物語全釈』(共著、和泉書院、2000 年~)、「『保元物語』の諸問題」(名古屋学院大学論集(人文・自然科学篇)41 巻2 号、2005 年1 月)など。

阿部 亮太  (アベ リョウタ)  (

実践女子大学・法政大学非常勤講師
著書・論文:「古活字本『保元物語』編者考―『壒囊鈔』を用いた評論群を中心に―」(『文学・語学』207 号、2013 年11 月)、「認識としての「保元・平治」―物語は院政期の動乱をいかに捉え直すか―」(『國語と國文學』94 巻4 号、2017 年4 月)、「崇徳関連話群の再検討―延慶本『平家物語』の編集意図―」(大橋直義氏編『根来寺と延慶本『平家物語』 紀州地域の寺院空間と書物・言説』勉誠出版、2017 年)など。

清水 由美子  (シミズ ユミコ)  (

清泉女子大学・中央大学・成蹊大学・白百合女子大学等
非常勤講師
著書・論文:『平家物語を繙く』(若草書房、2019 年)、「四類本『保元物語』の時代認識―冒頭のことば「中比」をめぐって」(『成城国文学』32、2016 年3 月)、「『保元物語』の流動―平基盛の造型をめぐって」(『中央大学文学部紀要(言語・文学・文化)』119、2017 年3 月)など。

小番 達  (コツガイ トオル)  (

名桜大学教授
著書・論文:『平治物語 全訳注』(共著、講談社、2019 年)、「延慶本平家物語における広嗣・玄昉関連記事の形成過程の一端―『松浦縁記逸文』をめぐって―」(『國學院雑誌』114巻11号、2013 年11 月)、「源為朝渡琉伝承の始発―『保元物語』から『幻雲文集』へ―」(『絵解きと伝承そして文学―林雅彦教授古稀・退職記念論文集―』方丈堂出版、2016 年)など。

谷口 耕一  (タニグチ コウイチ)  (

元三重県立桑名西高等学校教諭
著書・論文:『校訂延慶本平家物語 三』(汲古書院、2001 年)、『平治物語全訳注』(共著、講談社、2019 年)、「延慶本平家物語における維盛粉河詣をめぐる諸問題―湯浅権守宗重とその周辺(三)―」(『続々・『平家物語』の成立』、千葉大学大学院社会文化科学研究科、2003 年)など。

滝澤 みか  (タキザワ ミカ)  (

日本学術振興会特別研究員PD
著書・論文:『流布本 保元物語 平治物語』(共著、武蔵野書院、2019 年)、「流布本『保元物語』『平治物語』の人物造型―為義・義朝像の拡大を通して―」(『国語国文』86 巻10 号、2017 年10 月)、「流布本『保元物語』『平治物語』による合戦場面の改変から見えるもの」(『日本文学研究ジャーナル』11 号、2019 年9 月)など。

佐々木 紀一  (ササキ キイチ)  (

米沢女子短期大学教授
著書・論文:「出羽清原氏と海道平氏(上)・(下)」(『米沢国語国文』46・47、2017・2018 年)、「根井幸親覚書」(『山形県立米沢女子短期大学紀要』54 2018 年)、「藤原章綱略伝」(『山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告』46、2019 年)など。

長村 祥知  (ナガムラ ヨシトモ)  (

京都府京都文化博物館学芸員
著書・論文:『中世公武関係と承久の乱』(吉川弘文館、2015 年)、『京都観音めぐり 洛陽三十三所の寺宝』(共編著、勉誠出版、2019 年)、「木曾義仲の上洛と『源平盛衰記』―近江国湖東路の進軍と反平家軍の連携―」(『軍記と語り物』48 号、2012 年)など。

大津 雄一  (オオツ ユウイチ)  (

早稲田大学教授
著書・論文:『軍記と王権のイデオロギー』(翰林書房、2005 年)、『『平家物語』の再誕創られた国民叙事詩』(NHK 出版、2013 年)、『平家物語大事典』(共編著、東京書籍、2010 年)など。

吉野 朋美  (ヨシノ トモミ)  (

中央大学教授
著書・論文:『後鳥羽院とその時代』(笠間書院・2015 年)、『西行全歌集』(共著、岩波文庫、2013 年)、「源俊頼の試み―堀河天皇歌壇における立場と詠歌のかかわりについて―」(『國語と國文學』96 巻12 号、2019 年12 月)など。

山本 岳史  (ヤマモト タケシ)  (

国立教育政策研究所学力調査専門職
著書・論文:「「國學院大學図書館所蔵奈良絵本『平家物語』考」(『國學院大學 校史・学術資産研究』5、2013 年3 月)、「『源平闘諍録』本文考―巻五「南都牒状事」を中心に」(『國學院雑誌』114巻11号、2013 年11 月)、「寛文五年版『源平盛衰記』と絵入無刊記整版『太平記』の挿絵―巻四十四「三種宝剣」と『太平記』「剣巻」の挿絵の転用をめぐって―」(松尾葦江編『文化現象としての源平盛衰記』笠間書院、2015 年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。