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萬葉記紀精論 曽倉 岑(著) - 花鳥社
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萬葉記紀精論

発行:花鳥社
A5判
576ページ
上製
価格 18,000円+税
ISBN
978-4-909832-16-0
Cコード
C3095
専門 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年7月28日
書店発売日
登録日
2020年7月28日
最終更新日
2020年8月12日
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紹介

上代文学を精緻に追究し続けた、著者初の論文集。
逝去後、編集協力者4人が審議を重ね厳選した31編を収録。
各論文への解説付。

・人麻呂歌の異伝
・記紀歌謡および記紀、万葉集の叙述・表現
・万葉歌人およびその歌
・「天地の神」という表現の成立・展開・用法
について論じたその方法と文学観は、現在の学界閉塞状況を乗り越える道しるべとなる。

目次

第一部 人麻呂歌の異伝

1 万葉集における歌詞の異伝
一 「異伝」の概念規定
二 歌詞の異伝の分類
三 歌詞の異伝――分布状態
四 歌詞の異伝――巻別特徴
五 歌詞の異伝――家持の場合
六 歌詞の異伝――巻十五の場合
七 歌詞の異伝――結論

2 万葉集巻一・巻二における人麻呂歌の異伝――詞句の比較を通して――
一 異伝の記載形式――全体と人麻呂歌の場合
二 人麻呂歌の異伝――伝承説・推敲説
三 巻一、二の人麻呂歌の異伝――人麻呂独自か一般的か
四 人麻呂歌の本文が一般的で異伝が独自の場合
五 人麻呂歌の本文・異伝が共に人麻呂独自の場合
六 人麻呂歌の異伝――結論

3 人麻呂の異伝をめぐって――巻一・巻二の場合――
一 巻一、二の人麻呂歌の異伝――推敲はなぜ残り得たか
二 私的作品(相聞・私的挽歌)の場合
三 公的作品(雑歌・公的挽歌)の場合

4 人麻呂の異伝推敲説概要・補説
一 人麻呂の異伝関係に関する既発表自説論文の紹介
二 既発表第一論文(A)の概要
三 既発表第二論文(B)の概要その一及び補論
四 既発表第二論文(B)の概要その二及び補論
五 既発表第三論文(C)の概要及び補論

第二部 記紀と歌謡の表現

1 イワノヒメの嫉妬
一 はじめに――記紀のイワノヒメ伝説の中核は「嫉妬」
二 記紀のイワノヒメ登場説話の具体的検討
三 記の黒日売への嫉妬説話について、非イワノヒメ伝説
四 紀の桑田玖賀媛への嫉妬説話について、非イワノヒメ伝説
五 記の女鳥王叛逆説話におけるイワノヒメ、非イワノヒメ伝説
六 イワノヒメ嫉妬伝説の原点、八田若郎女(皇女)への嫉妬説話
七 最後まで夫を許さぬ紀のイワノヒメ伝説こそが本質

2 イワノヒメ伝説の発展
一 記紀と異なる万葉のイワノヒメへの評言
二 二つのイワノヒメ像の関係性の承認
三 天皇を賛美するイワノヒメの歌謡
四 イワノヒメの大君賛歌の文脈的矛盾性
五 文脈と矛盾する歌謡は伝説の装飾化
六 万葉のイワノヒメ像形成の契機となった記紀の歌謡
七 万葉のイワノヒメは日本書紀の表現が淵源

3 記紀歌謡と説話
一 記紀における説話と歌謡の結びつき条件の問題
二 歌謡と説話の結びつきに存在する記紀の間の共通理解
三 歌謡が主で説話が従である場合の歌謡と説話の結びつき
四 説話が主で歌謡が従の場合の結びつき方の種々
五 文字資料としての歌謡に対する記紀編者の熟知度

4 「この川の絶ゆることなく」考
一 問題提起
二 「この川の絶ゆることなく」は人麿が初例
三 「永遠」の観念の歌への導入
四 永遠の観念は大陸からの渡来

5 国見歌とその系列の歌の自然叙述
一 本稿の主題
二 国見歌の分類と発展順
三 列挙型と称揚型の成立の先後関係
四 称揚型の伝統継承的性格
五 人麻呂の創始した称揚型の新しい表現

6 上代文学における土地の否定的表現(上)
一 土地の否定的表現の諸例――散文の場合
二 当該地域外からの否定的表現――散文の場合
三 当該地域内にあっての否定的表現――散文の場合

7 上代文学における土地の否定的表現(下)
四 当該地域外からの否定的表現――歌の場合
五 当該地域内にあっての否定的表現――歌の場合

8 八雲立出雲考
一 従来説に対する疑問提起
二 イヅモを「出づる雲」と解し難い
三 「雲立つ」と「雲出づ」とは同義ではない
四 「八雲立つ」と「出雲」との関係
五 祥瑞思想と「出雲」の表記
六 「出雲」の表記確定後の「八雲立つ」との結びつき

第三部 万葉集の歌人と作品

1 舒明天皇「夕されば」の歌について
一 「夕されば」の歌の作者の問題
二 稲岡耕二氏説の問題点
三 二首と「鹿物語」の関係
四 一六六四番歌の伝承歌が一五一一番歌
五 「鹿物語」を前提とする説への批判

2 中皇命序説
一 中皇命をめぐる問題点
二 賀茂真淵の間人皇女説
三 喜田貞吉氏説
四 折口信夫氏説
五 高木市之助氏らの喜田説への姿勢
六 土屋文明氏・沢瀉久孝氏による喜田説の修正
七 田中卓氏による喜田説批判
八 折口説のその後の展開と間人皇女説の再提唱など

3 天智天皇(その一)
一 歌人としての天智天皇を論じる手順
二 「三輪山の歌」は額田王作
三 斉明紀の歌の作者
四 相聞の民謡説の問題点
五 「目を欲り」「君」「恋し」という表現
六 第三期の流行歌的歌謡の改変

4 天智天皇(その二)
一 本稿の立場
二 第二句「雄男志」の解釈
三 嘆きの歌
四 つま争い一般に体験を重ねる

5 天智天皇(その三)
一 見つめられた印南国原
二 一五番歌の叙景的要素
三 国見的望郷歌の発想に立った九一番歌
四 「三山歌」に伺える精神的強さ

6 天智挽歌群について
一 天智挽歌群の問題点
二 歌数の多さの意味するもの
三 「女の挽歌」の伝統
四 作者・作歌時期・地名の示す公的、儀礼的性格

7 天智挽歌群続考
一 歌の関連性
二 私的、個人的性格の認められる歌
三 場の規制力
四 公的、儀礼的性格の弱さ
五 公的、儀礼的場の規制力の強弱

8 額田王――従山科御陵退散之時の歌――
一 問題の所在
二 作歌時点――接続助詞「て」を手がかりに
三 大宮人の心の代弁とする説の問題点
四 「去き別れなむ」という表現の示すもの
五 大宮人に去られた後の後宮の女性たちの淋しさ

9 〈講演〉額田王「秋の野の」の歌の独自性
一 額田王の位置
二 七番歌の問題点
三 「はも」型による回想
四 「思ほゆ」型による回想
五 「仮廬」についての先行説
六 万葉集の「仮廬」
七 上代の新嘗の建造物
八 都での回想

10 天武御製歌と周辺の歌
一 問題の所在
二 松田好夫氏説の問題点
三 沢瀉久孝氏説の問題点
四 上代歌謡・万葉集の伝聞的表現
五 三二九三番歌が他の三首に先行
六 四首の関係

11 大津皇子の流涕作歌――「雲隠る」をめぐって――
一 「雲隠る」という表現をめぐる諸説
二 自分の死をうたった挽歌
三 自分の死をうたった挽歌以外の歌
四 自分の死をうたった歌には敬避表現が用いられる
五 貴人に限られない「雲隠る」
六 「雲隠る」天上他界説の問題点
七 水平移動を意味する「雲隠る」

12 「銀も金も玉も」考
一 「銀金玉」という順序
二 将棋の駒の序列の検討
三 中国の印制における「玉金銀」という序列

第四部 「天地の神」考

1 「天地の神」考
一 目的
二 万葉集の「天地の神」
三 「天地」と「天地の神」
四 続日本紀宣命の「天地の神」
五 続日本紀宣命と万葉集
六 諸説批判
七 「天つ神国つ神」「天神地祇」と「天地の神」
八 結び

2 笠金村の「天地の神」
一 目的
二 「天地の神」の基本的性格
三 笠金村は官人であった
四 笠金村の「天地の神言寄せて」
五 娘子を得て作る歌の「天地の神」の恩恵
六 吉野離宮の永続を「天地の神」に祈る
七 長歌の末句「恐くあれども」の意味
八 結び――次論への問題

3 旅の平安と「天地の神」
一 笠金村に続く「天地の神」の歌
二 旅行者の歌と送別者の歌
三 遣唐使を送る春日の神の歌と防人の鹿島の神の歌
四 祈願することなく旅の平安をもたらす神
五 斎瓮を用いて旅の平安を願った歌
六 旅の平安を祈る最も有効適切な神

4 笠女郎の「天地の神」
一 はじめに
二 コトワリとは何か
三 笠女郎歌の神のコトワリ
四 神のコトワリは何か
五 「天地の神」は道理をもつ
六 漢籍の「神理」
七 世のことわりから神のことわりへ

5 万葉集作歌年代不明歌の「天地の神」
一 作歌年代の絞られるものと全く不明のもの
二 笠女郎歌と中臣宅守歌
三 遊行女婦蒲生伝誦歌
四 大伴駿河麻呂の歌
五 巻十三雑歌の一首
六 巻十三挽歌の一首
七 巻十三相聞の四首
八 巻十三問答の二首

6 万葉集「天地の神」の表現と特性(上)
一 「天地の神」と神一般との相違
二 「天地の神」と神一般との表現上の相違
三 「天地の神」の非祭祀性
四 「天地の神」は原則として供物しない
五 「天地の神」への確乎たる観念の欠如

7 万葉集「天地の神」の表現と特性(下)
六 「天地の神」にのみ見られ神一般には用いられない表現にある神への不信感
七 「天地の神」にのみ見られる表現にある人間に恩恵を与えること
八 「天地の神」の特性
九 「天地の神」の持つ親近性
十 結び――「天地の神」の親近性と万葉集

解説
第一部 人麻呂歌の異伝……遠藤宏
第二部 記紀と歌謡の表現……金井清一
第三部 万葉集の歌人と作品……小松靖彦
第四部 「天地の神」考……小野寛

初出一覧
曽倉岑著作一覧
あとがき……小野寛

著者プロフィール

曽倉 岑  (ソクラ タケシ)  (

昭和9年(1934)7月28日、神奈川県に生まれる
昭和28年(1953)長野県立伊那北高等学校卒業/昭和33年(1958)東京大学文学部国文学科卒業/昭和35年(1960)東京大学大学院修士課程修了 修士論文題目「上代歌謡研究」
昭和38年(1963)同博士課程満期退学 明治学院大学文学部専任講師/昭和42年(1967)同助教授/昭和48年(1973)同教授
昭和49年(1974)青山学院大学文学部助教授/昭和51年(1976)同教授/平成15年(2003)定年退職
青山学院大学名誉教授
平成30年(2018)1月15日逝去。享年83歳

上記内容は本書刊行時のものです。