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先代旧事本紀論
史書・神道書の成立と受容
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2019年8月31日
- 書店発売日
- 2019年8月29日
- 登録日
- 2019年8月7日
- 最終更新日
- 2022年6月4日
紹介
偽書には偽書の価値がある。
九世紀初頭に編纂された歴史書・神道書でありながら、不審箇所が多く、近世以降は偽書として低く見られてきた『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』。
記・紀神話享受史の研究において近年脚光を浴びる書をここに再評価。
日本文学・日本史学・神道学・日本語学の四領域から迫る!
『先代旧事本紀』研究のための基本文献リスト収載。
目次
はじめに◆工藤浩
Ⅰ 構想と神話・伝説・系譜
1 神から人への「系統史」―『先代旧事本紀』の構想と構成―◆松本直樹
はじめに/「神代史」各巻の内容/「神代史」各巻の構想/「神代史」の構造
2 『先代旧事本紀』における出雲系神格の位置―「天璽瑞宝十種」の造形に関する一試案―◆小村宏史
瑞宝十種と鎮魂祭、およびウマシマヂ/「蛇比礼」「蜂比礼」「品物比礼」―オホナムチとオホモノヌシ/「生玉」「足玉」「道反玉」「死反玉」―ヌナカハヒメとタケミナカタ/「瀛津鏡」「辺津鏡」―宗像・賀茂の神/「八握剣」について/おわりに
3 地祇本紀のオホナムチ―系譜の分析を中心に―◆伊藤剣
はじめに/大年神流の神統譜/『先代旧事本紀』のオホナムチ㈠―オホナムチの亦名/ 『先代旧事本紀』のオホナムチ㈡―大三輪神との一体化/『先代旧事本紀』のオホナムチ㈢―系譜条にみる倭の神としての性格/杵築大社の祭神/オホナムチを倭の神にした意図/おわりに
4 「天孫本紀」所載系譜をめぐって◆工藤浩
アメノカゴヤマ系譜/ウマシマヂ系譜/ニギハヤヒ系譜への統合/「天孫本紀」所載系譜の受容/おわりに
5 「国造本紀」研究の現状と課題◆鈴木正信
はじめに/江戸時代の研究/幕末から戦前までの研究/戦後の研究/今後の展望/おわりに
コラム 可美真手命とその銅像―明治天皇が求めた臣下の理想像◆小林真美
コラム 『先代旧事本紀』が拓くヤマトタケルの子・武田王の伝説◆小林真美
コラム 記述の小異と皇位継承へのまなざし◆星愛美
Ⅱ 神道思想と享受
6 『先代旧事本紀』と祭祀―『釈日本紀』にみる呪力の受容―◆渡邉卓
はじめに/『釈日本紀』「開題」引用の『先代旧事本紀』/『釈日本紀』「述義」引用の『先代旧事本紀』/祭祀文献としての認識/呪力の移動/おわりに
7 山崎闇斎と『先代旧事本紀』―基礎的考察―◆西岡和彦
はじめに/闇斎の神書評価と『先代旧事本紀』の位置/闇斎が用いた『先代旧事本紀』の底本とその校訂/神書『先代旧事本紀』と注釈書『旧事大成経』/おわりに
8 学問・注釈の世界における『先代旧事本紀』◆福田武史
はじめに/『令集解』引用文存疑/『先代旧事本紀』による『日本書紀』注釈―『釈日本紀』/おわりに
コラム アーネスト・サトウが手にした『先代旧事本紀』◆小林真美
Ⅲ 写本と表記
9 『先代旧事本紀』の諸本研究をめぐる現状と課題◆松本弘毅
はじめに/諸本一覧とこれまでの研究/想定諸写本系統図/各写本について(一) ⑨石川忠総本・⑩卜部一本/各写本について(二)卜部兼右本/各写本について(三)卜部兼右本系諸本/各写本について(四)その他の兼永本の転写本/未検討写本/行方不明写本/おわりに―旧事本紀の写本系統を追究する意味
10 『先代旧事本紀』における熟字と単漢字―「誕生」と「生」をめぐって―◆奥田俊博
問題の所在/『先代旧事本紀』の「誕生」の用法と『日本書紀』の対応記事/漢語「誕生」の用法と『先代旧事本紀』/『先代旧事本紀』における「誕生」と「生」
コラム 今後の研究課題について◆工藤浩
『先代旧事本紀』研究のための基本文献リスト
あとがき◆工藤浩
執筆者紹介
前書きなど
『先代旧事本紀』は、歴史書、神道書の性格を持つ。『古事記』『日本書紀』は、周知のように天皇統治の正統性の根拠を示すことを目的に、八世紀初頭に編纂された王権の歴史書である。本書が対象とする『先代旧事本紀』十巻は、飛鳥時代に勢を誇った豪族である物部氏の関わる宮廷祭祀の職掌の起源を示す氏族の側の歴史書として、九世紀に作られたと考えられており、「氏文(うじぶみ)」という括りの中に入れられることが多い。……研究も着実に深められてきたことは間違いないが、成熟には程遠い現状がある。……そこで、日本文学、日本史学、神道学、日本語学の四領域の研究者が一堂に会しての、『先代旧事本紀』を対象とする共同研究を企画した。各々の分野での研究の現状と問題点を押え、今後の展望を考えることから始めた。……「はじめに」より
上記内容は本書刊行時のものです。