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奥能登最先端 「あこがれ」の同人誌印刷所があった ──スズトウシャドウ印刷
- 初版年月日
- 2026年11月8日
- 発売予定日
- 2026年11月13日
- 登録日
- 2026年6月5日
- 最終更新日
- 2026年8月13日
紹介
あらゆる同人誌印刷所が、誰かにとっての特別だった。
30年以上前、石川県金沢市で生まれ育った中学生の少女は、参加した同人誌即売会のパンフレットで「スズトウシャドウ印刷」の文字と、風変わりなおじさんのイラストを目にする。美しい印刷でその名を知られた同人誌印刷所は、小説家を志す彼女にとって、いつか同人誌印刷をお願いしたい「あこがれ」の存在としてうつった。
時は流れ、地元で小説家となった彼女は作家活動の傍ら同人誌制作を続け「あこがれ」を実現。その美しい仕上がりを心から喜んだ。「ご褒美みたいな印刷所としてずっとスズさんはいてくれる……」そう思っていた2024年1月1日、能登半島地震がスズトウシャドウ印刷のある石川県珠洲市を襲った――。
生まれ育った金沢の地で、眠れない夜を過ごしながら決意したのは、チャリティー同人誌制作だった。被災したスズトウシャドウ印刷の営業再開を待って、2024年5月に『波の花 風吹く 令和6年能登半島地震チャリティー同人誌』が完成、大きな反響を呼んだ。そして翌2025年の初夏、スズトウシャドウ印刷から突然のメールが彼女の元へと届く。
そこにあったのは、「2025年7月をもって業務終了」の文字。
覆ることのない事実にショックを受けながら、彼女は決意する。スズトウシャドウ印刷を残したい。能登半島の最先端で、素晴らしい技術をもった印刷所が、たくさんのひとの「あこがれ」をすくってきたこと。それを残す形はやはり、「本」しかないのだと。
目次
「あなたならば」というはじまり(紅玉いづき)
◆スズトウシャドウ印刷の人たち
・ロングインタビュー「能登の小さな印刷屋、同人誌の海をゆく」(石田汗太)
・スズトウシャドウ印刷と私――それはまるで「かかりつけ」の(紅玉いづき)
◆スズトウシャドウ印刷と関わった人たち
関係者インタビュー(おーちようこ、敬称略・順不同)
・コミックマーケット準備会
・コミティア実行委員会
・赤ブーブー通信社
・日本同人誌印刷業組合(株式会社緑陽社、株式会社ブロス)
寄稿
・これまでスズトウシャドウ印刷に関わってくださった全ての皆様へ(平野真由美)
・新聞記者、同人誌沼に落ちる(石田汗太)
・出版社から同人誌印刷所へ依頼した経験(佐古田宗幸・parubooks編集部)
◆スズトウシャドウ印刷へ思いを寄せる人たち
特別寄稿(敬称略・順不同、カラーページ)
・高松美咲
・波津彬子
・こうの史代
・鈴木次郎
・髙川ヨ志ノリ
・長塚圭史(劇作家・演出家・俳優)
あとがき(紅玉いづき)
スズトウシャドウ印刷 関連年表
版元から一言
「美しい」同人誌を刷り続けた人たちの、
奮闘と決断の記録 ―― 1953年創業、2025年閉業
令和6年能登半島地震の被災地、石川県珠洲市で1980年代から同人誌印刷を営み、多くの同人作家に惜しまれながら2025年に閉業した、有限会社スズトウシャドウ印刷。
その72年の足取りを、創業者一族への貴重なインタビューや提供資料、同人誌即売会主催者や同業者の証言を交えながら振り返る。震災という大きな苦難に見舞われる中、最後まで事業継続を模索し続けた同社が残した「財産」は計り知れない。
日本独自の発展を遂げ、世界に通用するマンガ・アニメなどの創り手を生み出す豊かな土壌となってきた「同人誌」文化。インターネット通販や電子書籍の普及、原材料高などで、同人紙印刷や同人誌即売会は大きな曲がり角を迎えている。そんな中、同人誌文化を紡ぎ続けてきた人たちの「熱量」を伝えることで、日本の創作文化のこれまでの歩みと重ねる。
スズトウシャドウ印刷にゆかりのあった、漫画家や著名人6名からの特別寄稿も収録し、ここでしか読むことができないファン垂涎の内容となっている。
責任編集は金沢在住の小説家・紅玉いづきが務める。
アマチュア時代から「あこがれ」の存在だったスズトウシャドウ印刷への取材、関係者への聞き取り、資料集めなどに自ら奔走。
ライティングは、7/15発売の『コミックマーケットのあのころ 「場」を創ったみんなの50年』(星海社新書刊)などで同人誌関連著作に定評のあるおーちようこ、『わたしは楳図かずお』(中央公論新社刊)などを著した元読売新聞文化部編集委員の石田汗太が担当する。
関連リンク
https://parubooks.jp/news/3497/
上記内容は本書刊行時のものです。

