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国際社会から見た福島第一原発事故
国際人権法・国連勧告をめぐって私たちにできること
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2021年5月26日
- 登録日
- 2021年5月18日
- 最終更新日
- 2021年6月2日
紹介
福島原発事故から10年。日本政府は避難者の住宅支援を打ち切り帰還を促進するなど、被害者の声を無視した政策を続ける。避難者は国連の場で被害の実態を訴え、国連は日本政府に被害者保護のために制度の見直しをするよう詳細な勧告を出した。本書はその勧告内容を紹介し、国際社会が日本政府の対応にどのような憂慮しているかを示す。
目次
はじめに
人権(human rights)
普遍的定期的審査(UPR)とは
国際人権条約
国連人権理事会特別報告者
国内避難に関する指導原則について
京都訴訟団による国際人権法と国連勧告の活用
原発賠償京都訴訟原告団について
あとがき
前書きなど
はじめに
2011年3月11日、東日本大震災が起こり、多数の犠牲者が出ました。翌12日、福島第一原子力発電所の1号機が水蒸気爆発を起こし、14日に3号機、15日には4号機と続いて爆発しました。そして、原子炉3基がメルトダウンを起こし、多くの人たちが原発避難の決断をしなくてはなりませんでした。
一方、避難したくても公的支援なしに避難をすることができない被害者も大勢いました。多くの国がチャーター機を出して、母国へ避難するよう呼びかけていた時に、日本政府が決定した避難区域の範囲は、海外諸国のそれよりもずっと小さかったのです。
原発事故から10年の「時間」が流れました。しかし、日本政府は原発被害者を追い詰める政策を続けています。低線量被ばくの影響を過小評価し、住民の懸念や切実な要望を軽視し、被害者を守るどころか、被害者を苦しめる真逆の政策を続け、現在に至っています。住民への被ばく対策など、必要な支援もなく、避難者に対しては、住宅支援を打ち切り、帰還を促進するなど被害者の声を無視した政策を続けています。
避難者の中には、国や東電を相手に責任を認めさせ、避難に対する権利と賠償などを求めて司法へ訴えた仲間たちがいます。
原発事故の後始末をせず、事故をなかったことにしてしまったら、さらに破壊されかねない未来が人類とこの地球に待ち受けていることでしょう。
原発事故の悲惨さから抜け出せない日本の怠慢さに対し、長年にわたる多くの方々からのサポートと共に、原発賠償京都訴訟原告団の1人が国連の人権保障システムの場で訴えました。この冊子は、私たちの声が世界の舞台へ届いたことと、その結果、日本政府が国連から被害者保護のために制度の見直しを行うように詳細な勧告を受けたことが書かれています。
私たちがふだん当たり前に生活することが、なぜこんなに困難なのでしょうか。この冊子を通して考えるヒントとなれば幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。