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認知症
シュタイナーの精神科学にもとづくアントロポゾフィー医学の治療と介護の現場から
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2016年2月
- 書店発売日
- 2016年2月20日
- 登録日
- 2015年9月9日
- 最終更新日
- 2023年5月5日
紹介
高齢者医療に携わる医師が、認知症の主要な型、認知症のリスク、要因と原因、認知症の検査と診断について、また一般的な医療とそれを補完するものとしてのアントロポゾフィー医療の可能性と、認知症患者たちへのその治療と介護の仕方について、多くの例を挙げながら詳しく述べています。また本書は、多くの場合、気づかれずにいる彼らの潜在的な能力に光を当てることによって将来に対する全く新しい見方を示しています。
目次
1 はじめに
認知症:時代精神を映し出す像・・・15
認知症:自律性と≪自我≫の喪失に対する不安・・・16
人生最後の段階における予期せぬ成長・・・18
<考える>を学ぶ・・・20
思考力を手放す・・・20
2 病状の進行段階
もの忘れ外来・・・24
画像検査・・・25
家族会議・・・25
おびえている自我、混乱している自我、沈み込んでいる自我・・・26
現実見当識訓練とヴァリデーション・・・26
認知症患者との接し方 ― 継続的なかかわり・・・28
3 診断
アルツハイマー病・・・30
身体的診察
検査
患者の関係者からの病歴聴取
まとめ
アルツハイマー病の中核症状
このような問題とどう取り組んでいくことができるか?
前頭側頭型認知症(ピック病) ・・・34
まとめ
ピック病の中核症状
補足的な診断法
病気の経過
血管性認知症・・・37
衰えた運動機能
≪まるであっと言う間のことだった≫
比較的よい記憶力
神経心理学的検査
まとめ
血管性認知症の中核症状
原因
レビー小体型認知症・・・41
訪問
≪そこには座らないで、そこには犬が座っているの!≫
幻覚 ― 初めてではなく
こわばった筋肉
変動する経過
まとめ
レビー小体型認知症の中核症状
せん妄とレビー小体型認知症
要約:認知症の四つの病型・・・45
アルツハイマー病
前頭側頭型認知症
血管性認知症
レビー小体型認知症
4 検査
観察・・・48
身体的診察・・・48
時計描画テスト・・・49
ミニメンタルステート検査(MMSE) ・・・50
前頭葉機能検査(FAB)・・・51
5 認知症を引き起こす原因
脳:生命力の弱い器官・・・54
血管系の老化:動脈硬・・・55
脳組織の老化:アミロイドβ・・・55
脳組織の老化:タウ蛋白質・・・55
アロイス・アルツハイマーとアルツハイマー病の発見・・・56
ハイコ・ブラークとエヴァ・ブラークの研究・・・57
いわゆる修道女研究・・・58
言語表現の豊かさと映像的表象の豊かさ・・・60
要約・・・61
6 現代医学の治療メソッド
一般的な治療方法・・・64
降圧剤
予防薬
アセチルコリン・エステラーゼ阻害薬
受容体ブロッカー
7 海馬と記銘(記憶の刻印)
直接記憶と間接記憶 ・・・68
健忘症
H.M.の物語・・・69
いわゆる猿の研究・・・70
胎生期の海馬・・・71
海馬と脈絡叢の密接な関係・・・73
空洞形成と魂・・・74
ストレスとトラウマは海馬を収縮させる・・・74
コルサコフ症候群・・・75
8 記憶の三つの相
ローカル記憶・・・81
リズム記憶・・・・82
抽象記憶・・・83
≪何で今度は変えるんですか?≫・・・84
認知症患者はかつての記憶相へ後戻りする・・・85
記憶の種類・・・86
9 臨死体験と臓器記憶
臨死体験・・・88
臨床的な死と、それでもなお存在する記憶
臨死体験の定義
≪臨床的な死≫とは意識が存在しなくなるということなのか?
脳の死
臓器記憶・・・91
夢
臓器提供者を探して
知覚から記憶へ
10 脳下垂体と松果体
松果体と脳下垂体の胎生的発達・・・96
松果体の胎生的原基
脳下垂体の胎生的原基
脳下垂体:原腸と神経系との出合い・・・102
魂の道具としてのホルモン
要約
メラトニンによる松果体の再発見・・・104
動物の松果体
人間の松果体
メラトニンの作用・・・106
血圧と心臓へのメラトニンの影響
体内時計・・・107
洞窟実験
松果体と性的成熟・・・109
メラトニン血中濃度の影響・・・109
要約・・・110
11 アントロポゾフィーの観点から見た記銘プロセス
人間存在の四つの構成要素・・・112
鉱物界
植物界
動物界
人間
魂を育てるための働きかけ・・・115
まず掴(つか)んで、そして理解する
自我の道具としてのことば
教育と文化の影響による魂の育ち・・・117
自我の導きによる魂の教育:感覚魂
自我の導きによる魂の教育:感情魂
自我の導きによる魂の教育:意識魂
要約・・・119
記憶形成:一般的な見解・・・120
記憶形成:アントロポゾフィーの見解・・・120
間脳
生命体の解放と独立
松果体と脳下垂体:感覚印象と思考を臓器記憶に定着させるために必要な二つの器官
残像
眼は光を≪消化する≫
霊的なものはあらゆる光景あらゆる音とともに私たちの内へ流れ込む
世界記憶
世界記憶へとつづく道
要約・・・126
12 補完する医学としてのアントロポゾフィー医学
患者か病気か?・・・130
現代医学と補完的医学との≪コミュニケーション障害≫・・・131
根拠にもとづく医療(EBM)・・・133
病気はどこから始まるのか?・・・134
現代医学と、病気の原因に関する問い・・・134
アントロポゾフィー医学と、病気の原因に関する問い・・・135
ホメオパシーは<問いかけ>を意味する
情報と、情報の担い手
自然生命の謎の探索
生物発光の研究・・・139
要約・・・140
13 老化プロセスに関する新たな観点
デメテル原理:純粋な生産性・・・144
この物語の背後に隠されている原像は?
歳を重ねていくこと:エロス人間からデメテル人間へ
老いていくということ、それはエーテル体の解放を意味する・・・147
誕生前
誕生後の成長 ― 身体の建築家としてのエーテル体
解放されていくエーテル体は子どもの就学能力を呼び起こす
就学期から思春期へ
人生の後半:エーテル体は新しい物事に≪教えられる≫
新しい身体の形成
14 アントロポゾフィー医学における認知症治療
認知症:脳のなかの一種の痛風・・・156
存在構成要素それぞれへの自然界の働きかけ・・・156
第一基本原理
第二基本原理
アカヤマアリ(Formica rufa)
惑星と金属と臓器の結びつき
銀
老年病治療薬・・・162
アントロポゾフィーの老年病治療薬
スクレロンⓇ ― アントロポゾフィーの老年病治療薬
治療に関する黄金律のアルツハイマー病への適用・・・164
病気のプロセスをとらえる
溶解
排泄
傷つきやすい脳・・・165
治療
生命体を強めるためのトレーニング・・・166
トレーニング1:知覚を判断に結びつけないようにし、映像を記憶の内で息づかせる
トレーニング2:意識的記銘
トレーニング3:しっかりした記憶力を身につける
トレーニング4:内示的記憶に介入する
トレーニングの適用
15 在宅介護では≪もうやっていけなくなった≫ときは
診断はできるだけ早く・・・172
親族に対する助成・・・173
いわゆるコーチング(coaching)の必要性・・・173
タブー・テーマとしての認知症・・・174
介護施設への転居・・・175
認知症患者のための住居共同体・・・176
問題行動・・・177
認知症患者の行動は、すべてコミュニケーション活動の試みである
建築形態
文化的行事
居住者を孤立させない仕組み ― 世界をどのように迎え入れることができるか?
介護
16 認知症患者に見られる行動障害
この章のはじめに・・・182
ひとつの像・・・182
この像の解釈:ひとつの身体である、ひとつの身体を持っている・・・183
身体にではなく意志の力に驚嘆する・・・184
シュタイナー婦人との会話・・・184
せん妄・・・185
せん妄:認知症の前兆
治療手段
予防措置・・・187
≪はがれ落ちていく記憶≫
行動障害に対する≪最初の援助手段≫としての≪生活ノート≫
新たな可能性・・・189
うつ病・・・189
三つのD
うつ病の二つのかたち
治療
自死の危険
精神病あるいは関連喪失?・・・192
関連喪失:もはや内的世界は外的世界とのつながりを見出せない
これからどうなるんだろう?・・・193
誤りを正さず、ヴァリデーションする・・・194
不安 ― スーパーマーケットでの約束・・・194
不安は自我の相対化機能不全からもたらされる
リヒァルトのバイオグラフィー
治療
17 その他の治療手段
芸術療法・・・200
C婦人は再び絵を描き始める
A婦人の緊張を解くために
治療オイリュトミー・・・205
K婦人 ― 再び<生活>に触れ始める
介護と、身体外部からの治療的働きかけ・・・211
18 おわりに
解放されていく生命体・・・216
認知症は新たなチャンスを差し出す・・・216
記憶は脳にではなく身体全体に蓄えられる・・・217
私の個人的な所見・・・217
自由度
成長の可能性
他者との接触
最後に:ユーモア
付録
認知症検査・・・220
認知症の段階(ライスバーグ・スケール) ・・・228
原註・・・230
文献
前書きなど
認知症を抱えることになってしまったとしても、私たちの人間的成長は
そこで終わってしまうわけではけっしてありません。
認知症のせいでこどばの世界・思考の世界が失われてしまったとしても、
私たちは、だからこそ再び新たに開かれる、かつての豊かな感情と意志の
世界の内へ<迎え入れられる>ことになるのです。
まさに私たちはそこでこそ -新たな人生へと通ずる死の扉を押す前に-
さらに新たに成長していくことができるのです。
上記内容は本書刊行時のものです。