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アントロポゾフィー医学から観た子どもの発達について
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2015年5月
- 書店発売日
- 2015年4月27日
- 登録日
- 2015年2月11日
- 最終更新日
- 2022年3月25日
紹介
「子どもの成長の不思議」について、小児科医が話し言葉で分かり易く解説――。愛情溢れる人間観察、体験的な人間理解から得た成長への眼差しは、子育てに愛と驚きをもたらす。
子どもの心と体の健康な発達は、親や教師の導きが必要であり、その為に大人は、子どもの成長についての理解が欠かせません。何故なら親や教師によって導かれる健康な子ども時代が、心と体の結び付きを強め、自立した人格を育てるからです。子どもは時間をかけ、心と精神を身体に結び付けつつ成長します。その様な成長の理解に即した子ども時代の発達が、自発性と社会性、更には成人後の「豊かな人生」の基礎を築くのです。
――アンダ・フラウマーネ=ヤッヘンス
目次
はじめに
第一章 三歳まで
昼夜のリズム
一歳:頭から立つ
二歳:言葉を喋る
三歳:内と外の境界
第二章 三歳から
世界に対する疑問
メルヒェン
エーテル体の誕生
抽象的な思考
共感
意志
第三章 九歳から
九歳
鉄
本当の「感情」の芽生え
大人になるということ
質疑応答
メルヒェンについて
服装について
シンボルについて
訳者による解説と補足
人間学
教育学
最初の三年
エーテル体
発生学
芸術と一般論
前書きなど
人間の成長というのは、不思議なものです。自分の子どもの頃を思い出してみれば、誰でも「どうしてあんなに簡単なことが出来なかったんだろう」と不思議に思う一方で、その逆に「どうして子どもの頃に簡単に出来ていたことが、大人になって出来なくなったのだろう」と思うこともある筈です。
その様な意味で誰にでも子どもの頃に起きる「奇跡」のひとつが、二本の足で立って歩くということです。というのも「立つ」ということは、誰もが「知らない間に出来ている」ことだからです。
ところが人間は九歳くらいになると、この「当たり前の様に出来ていたこと」が出来なくなってしまいます。そして、これがアントロポゾフィーの人間観に於いて頻繁に扱われる「九歳の危機」と呼ばれているものなのです。それは神話的な世界観に於ける楽園からの追放であり、また教育学的に言うならば「子ども時代」の終焉なのです。
詰まり人間の成長とは、先ず「気が付いたら出来ていた」という恵みを受け、それから「出来ていたことが出来なくなった」という危機を体験し、それを「自分の力で乗り越える」という「三歩進んで二歩下がる」の繰り返しなのです。
ところが殆どの大人は、子ども時代のことは余り覚えていません。詰まり自分がどれだけ苦労して大人になったのかを、忘れてしまっているのです。だからこそ子どもに向き合う為には、成長する人間を理解する必要が有ります。そして理解したことを、子どもと実際に接する中で「発見」することは楽しいものです。それまでは「謎」でしかなかった子どもの成長が、理解することで「喜び」に変わるからです。そういった理解は学校の教師は勿論のこと、子育てをする親にも求められていることだと言えるでしょう。
以下の文章はラトビアの小児科医であるアンダ・フラウマーネ=ヤッヘンスさんが2014年8月30日(土)に徳島県あわぎんホールで行った講演を編集したものです。この講演はルドルフ・シュタイナーの思想である「アントロポゾフィー」の基礎的な知識がある聴衆に語られたものなので、「エーテル体」や「アストラル体」といった聞き慣れない用語が然したる説明も無く登場します。よって巻末には、幾つかの専門用語(テクニカルターム)を説明する、訳者による「解説」が書かれています。
この長めの巻末付録はアンダさんの講演の「解説」である一方で、それは同時にアントロポゾフィーという思想を紹介するものでもあります。また関連書籍も紹介していますので、さらに詳しい内容に興味のある方は、シュタイナーの著作に手を伸ばして頂ければと思います。
2015年春 竹下哲生
上記内容は本書刊行時のものです。