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不登校のユニパスさん
心のかたちはそのままで
- 初版年月日
- 2026年8月20日
- 発売予定日
- 2026年8月20日
- 登録日
- 2026年6月26日
- 最終更新日
- 2026年7月13日
紹介
「ユニパスさん」とは、不登校や家庭での困難、発達特性、依存症など、さまざまな生きづらさやユニークな経験を抱えながらも、自分なりの道(パス)を歩んでいる、あるいは歩もうとしている人たちのことです。本書では、その一人ひとりの歩みに敬意を込めて、「ユニパスさん」と呼びます。
「普通になりたいのに、普通になれない」と自分を責めてしまう子どもや若者は少なくありません。しかし、その経験は決して人生のマイナスではなく、その人だけの大切な歩みでもあります。
本書では、不登校を中心に、当事者の体験や心の動き、支援の実践をもとに、「生きづらさ」とどう向き合い、自分らしい人生へとつなげていくのかを考えます。
当事者はもちろん、保護者や教師、支援者にも、新しい視点と希望を届ける一冊です。
目次
はじめに
ユニパスの由来─娘の“道なき道”に名前をつけた日
第1章 不登校をめぐるいろいろを知ろう
今、子どもに何が起きているの?
制度はあるのに、なぜうまくいかないの?
子どものこころの中で起きていること
親ができること─安心と希望を支える6つのステップ
思春期のこころを理解する
【コラム】
からだことばとは?/つくってみませんか? 親の居場所
第2章 不登校を6つの視点から整理しよう
タイプ① がんばりすぎのユニパスさん【過剰適応型不登校】
タイプ② 病気を抱えたユニパスさん【疾患起因型不登校(抑うつや不安症は除く)】
タイプ③ 困り事を抱えたユニパスさん【要支援型不登校】
タイプ④ 家庭にしんどさを抱えたユニパスさん【家庭内問題型不登校】
タイプ⑤ 学校が問題のユニパスさん【学校問題型不登校】
タイプ⑥ どうでもよくなってしまったユニパスさん【動機喪失状態】
【コラム】
過剰適応しやすい子どもとは?/「学校には行けていた」僕の見えない苦しさ/機能性疾患への理解/子どもの精神疾患と不登校/吃音と不登校/性的マイノリティと不登校/不登校におけるスクールソーシャルワーカーの役割とは?/いじめと不登校/不登校の子どもと向き合うすべての先生方へ
第3章 不登校Q&A よくある悩みとその向き合い方
【家庭・親の対応に関するQ&A】
① 子どもが小さいので、仕事を辞めて一緒にいるべきでしょうか?
② 兄弟姉妹への対応はどうしたらいいですか? 不公平にならないか心配です。
③ 夫(または妻)と意見が合いません。どちらの対応が正しいのでしょうか?
④ 子どもを甘やかしているように感じて罪悪感があります。厳しくしたほうがいいのでしょうか?
⑤ いじめが原因かどうか確かめたいのですが、本人が話してくれません。どうしたらいいですか?
⑥ 親がメンタル的に限界です。誰に頼ればいいでしょうか?
【子どもの心理・行動に関するQ&A】
⑦ 昼夜逆転してしまいました。お風呂にも入りません。生活リズムは直したほうがいいですか?
⑧ スマホばかり使っていて心配です。取り上げたほうがいいですか?
⑨ 「明日は学校に行く」と約束するのに、朝になると行きません。送る準備をしているので裏切られる気持ちです。嘘をつかれることに疲れました。
⑩ 「将来がどうでもいい」と言う子どもに何と声をかければいいですか?
⑪ ずっと家にいるので、体力低下が心配です。こんな調子で進学先や就職先でやっていけるのでしょうか?
⑫ 家にいるなら家事ぐらいやってもらいたいのですが、言ってもやりません。
【学校との関係・手続きに関するQ&A】
⑬ 学校に「登校刺激はやめてほしい」と伝えてもいいですか?
⑭ 担任との相性が悪いとき、どう対応したらいいですか?
⑮ 別室登校や保健室登校は「甘え」と見られないでしょうか?
⑯ 出席扱いにするためにはどうすればいいですか?
【勉強・進学に関するQ&A】
⑰ もうすぐ中学生。勉強が遅れることが心配ですが、勉強させたほうがいいでしょうか?
⑱ ほとんど中学校に行っていないのですが、進学はできますか?
⑲ 学校に行けない(教室に入れない)のですが、子どもが行ける場所はありますか?
【支援機関・今後の見通しに関するQ&A】
⑳ 病院に行くべきタイミングは?
㉑ カウンセリングは受けるべきですか。タイミングは?
㉒ 発達障害や学習障害などの診断を受けることに不安があります。診断は必要ですか?
㉓ ひきこもり状態が長期化しています。このままひきこもりになるのではと心配です。どうしたらいいですか?
【社会的なまなざし・周りの声に関するQ&A】
㉔ 祖父母や親戚から「甘やかすな」「子育てを失敗した」と言われてつらいです。
㉕ 周囲の目が気になります。子どもを外に連れて行ってもいいでしょうか?
第4章 ユニパスさんのアフターストーリー
ひきこもり8年から、“誰かの居場所”をつくる人へ(宮武将大)
人生の波とともに─不登校から大学教員になるまで(高橋亨輔)
“働く”を経て“育てる”を選んだ私の今(3歳男児の母)
人と触れ合う素晴らしさを捨てず、いずれ温もりを返していけたなら(佐藤恋汰)
いじめを超えて─不登校から福祉の道へ(精神保健福祉士)
無駄じゃなかった─ゲームばかりの毎日がつないだ未来(社会人1年目)
海外に自分らしく生きられる居場所を求めて(日本語教師を目指して勉強中)
どうでもいい、でも愛おしい─親としてたどり着いた境地(高校2年生女子の母)
第5章 ユニパスさんのこころを楽にする考え方12選
その1 人生はいつでもスタートできる
その2 限界は自分が決める
その3 他人の目に振り回されない─1:2:7の法則
その4 無理のない範囲でギバー(与える人)になる
その5 こころのコップをメンテナンスする
その6 こころのカタチはそのままで、視点を変える
その7 他人ではなく、過去の自分と比べる
その8 世界は広い、自分の居場所を探そう
その9 咲けないなら、咲ける場所を選ぶ
その10 思い通りにならないと感じた時間も、決して無駄ではない
その11 過去の自分を救うのは未来の自分
その12 生きていることそのものに価値がある
おわりに
前書きなど
ユニパスの由来─娘の“道なき道”に名前をつけた日
私は小児科医で、三人の子ども(一男二女)を持つ母親です。10年間の専業主婦生活を経て、子どもが6歳、8歳、10歳のときに医学生になりました。母親として、小児科医として得た知識や経験を生かし、子どもに関わる人たちの力になりたいと考え、2017年に「NPO法人親の育ちサポートかがわ」を立ち上げました。子育てについて学ぶ機会を提供するという親支援をメインにしてきました。
次女が不登校になったのは18歳になったときでした。高校2年の夏に南米に1年留学し、帰ってきたのは、同級生が高校3年生の夏。本人は再度高校2年生から始めることになりました。帰国してしばらくしたら寝るのが遅かったり、朝起きられなかったり、生活態度が気になるようになり注意していました。電車に間に合わず、遅刻はできないと職場と逆方向の高校まで連れて行くことがたびたびありました。いつも疲れたような、しゃきっとしない様子でした。
ある日、洋服が買いたいから1万円ほしいと言いました。次女がそんなことを言うのはとても珍しいことでしたから、何も言わず出してあげました。それから1か月後、話があると言いづらそうに言ってきました。「私、うつ病なの。申し訳なくて言えなかった」と涙を流しました。あの1万円は精神科受診に必要な医療費だったのです。医者なのに家族がうつ病だったことに気が付かなかったことも情けなかったですし、小児科医の私が子育て支援の活動をしているのに、娘がうつ病なんて迷惑をかけると、1か月も言い出せずに一人で悩んでいたこともつらすぎました。二人で車の中で泣きました。
翌日から「学校には行かなくていいから、休みなさい」と言うと、死んだように眠り続けました。お風呂にも入らず、ご飯も食べず、トイレにも行かず、ひたすら眠っていました。こんな状態なのに昨日までは無理して学校に行っていたのかと思うと、胸が押しつぶされそうでした。
(中略)
この5年間は無駄な時間だったのでしょうか。私はこのネガティブに捉えられがちな5年間、うつ病だった5年間にポジティブな名前をつけたいと思いました。それがユニパスです。あなたのユニパス期間。あなたはユニパスさん。ときに「暗いトンネル」と表現されるユニパスな時間は無駄ではなかったと、貴重な時間だったんだと伝えたかったのです。非常に個人的ですが、それがユニパスの由来です。
この経験から「ユニパス」という言葉をつくり、本書全体を貫くキーワードにしました。不登校や生きづらさを抱える子どもたちが、「自分の歩んでいる道には名前がある」と思えたら、少しは安心できるのではないかと願っています。
上記内容は本書刊行時のものです。





