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一人から始めるリコール運動 廣越 由美子(著) - ハザ
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一人から始めるリコール運動 (ヒトリカラハジメルリコールウンドウ) 保育士が呼びかけた林文子横浜市長解職請求の記録 (ホイクシガヨビカケタハヤシフミコヨコハマシチョウカイショクセイキュウノキロク)

社会科学
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発行:ハザ
四六判
縦188mm 横130mm 厚さ16mm
256ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-910751-02-3   COPY
ISBN 13
9784910751023   COPY
ISBN 10h
4-910751-02-5   COPY
ISBN 10
4910751025   COPY
出版者記号
910751   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2023年4月30日
書店発売日
登録日
2022年11月29日
最終更新日
2024年2月6日
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紹介

「本書に描かれた横浜市民の取り組みは……日本の政治のあり方を変える手がかりを示唆している」(武田真一郎〔成蹊大学法学部教授〕)

「選挙と直接請求制度は、民主主義の両輪だと考えています。選挙だけだと、公約違反をおこなった首長や議員に対し、「次の選挙では応援しない」、または「次の選挙では別の人を当選させる」ということしかできず、「公約違反」という重大な信義違反に対する責任追及や異議申し立てができないからです」(本書より)

市民は、政治的な代表を選ぶだけでなく、拒むこともできる――。2017年横浜市長選挙に臨み「カジノは白紙」と表明した林文子元市長が当選後、突如「誘致」へ方針転換した。「選挙に勝てば何をしてもよい」という姿勢を許してはならないとの思いから、政党や組織に頼らず、市長解職請求に挑戦した市民活動の貴重なレポート。

目次

はじめに 木村芳正

第1章 なぜ、リコールなのか?
 私の見た2017年横浜市長選挙
 大きかった市議会議員選挙の経験
 市民が動く市長選挙をめざして
 リコールのチャンスが来た

第2章 政党や組織に頼らない
 「第1回受任者交流会」を開催
 政党などの宣伝やチラシなど持ち込まない
 「リコールなんでも相談会」を横浜市全18区で開催
 名簿はデータ化せず原簿(紙)で管理
 「混ぜるなキケン」が合い言葉
 粘り強く続けられた街頭宣伝

第3章 立ちはだかった困難
 運動からの最初の離脱者
 新型コロナウイルス危機
 署名開始時期の延期を決断
 「公開質問状」で立憲民主党の非協力姿勢が明らかに

第4章 噓を見分ける力
 市長の噓
 住民投票運動の噓
 政党の噓

第5章 リコールに向けた実務的準備
 SNSやウェブサイト、YouTubeを活用した広報活動
 事務所の確保
 資金の確保
 署名簿と手引きの準備
 受任者への署名簿発送作業の準備

第6章 いよいよリコール本番へ
 リコール署名スタート
 鳴り止まない事務局の電話
 電話対応で感じたこと
 リコール署名達成ならず
 市長秘書課とIR推進課に要望書提出
 個人情報の溶解処理

第7章 リコールする人々
 参加者の証言

第8章 林市長落選運動と横浜市長選挙
 SNSで林市長落選運動スタート
 リコール制度と民主主義
 林市長が再出馬を表明、落選運動が本格化
 選挙運動ではない落選運動
 市長候補予定者への公開質問状
 政党任せにしない市民の参加が大切
 市長選挙の結果が示したもの

第9章 直接請求制度の役割とコストについて
 地方自治法にはなぜ直接請求制度があるのか
 リコール制度の変遷
 住民投票運動の難しさ
 直接請求の役割
 集まった寄付金と無償提供された人件費

終章 リコール運動の残したもの
 リコール運動へ対抗する住民投票運動
 地方自治の多角化や多様性に希望

おわりに 廣越由美子
推薦の言葉 武田真一郎(成蹊大学法学部教授)
関連年表

前書きなど

はじめに
木村芳正  

 私たちは、2019年8月末から2020年12月まで、1年以上にわたり林文子横浜市長の解職請求(以下、リコール運動)をおこないましたが、はじめにその経緯について簡単に記したいと思います。
 横浜市におけるカジノを含むIR(統合型リゾート)誘致をめざす動きは、2013年12月、国会にIR推進法案が提出されるや否や、2014年度から毎年関連する調査予算を計上するなど、国の動きと連動する形で進んできました。このカジノを含むIR(以下、カジノ)に関する調査予算については、自民党、公明党のみならず、当時の市政与党である旧民主党(後に民進党)も賛成してきました。林市長も、2017年7月の横浜市長選挙の直前まで、「カジノは前向きに検討する」という姿勢を堅持してきました。ところが2017年6月、市長選挙に臨み、林市長は「カジノは白紙」と表明し、カジノ誘致の是非という選挙の争点隠しをしました。そのため、カジノに反対意見を持つ多くの横浜市民が林市長に投票し、林市長は3期目の当選を果たしました。
 それゆえ、2019年8月22日に林市長が突如おこなった「カジノ誘致表明」は、多くの市民に衝撃を与えました。それまで林市長の政治姿勢に反対してきた市民だけでなく、「カジノは白紙」を信じて林市長に投票した人々にとって「裏切られた」という思いが強かったと思います。この日は多くの市民が横浜市庁舎に押しかけ、林市長との面会を求めましたが、かないませんでした。そして記者会見で記者たちから「白紙から方針転換したのか」と繰り返し詰め寄られた林市長は、会見を終え執務室に戻るやいなや用意した書類を放り投げ、怒りを爆発させたのでした。
 林市長のおこなったことで一番の問題点は、カジノ誘致を表明したこと以上に、「カジノは白紙」と訴えながら市長選挙で当選したにもかかわらず、市民の同意を得ることなく勝手に態度を変えたことです。この点が、ほかのカジノ誘致に手を上げた自治体の首長と大きく違うところです。それは、カジノ誘致問題にとどまらず、政治や選挙ヘの信頼を著しく低下させる行為だったのです。もし、前回の市長選挙で林市長が、「カジノは白紙」と言わずに、「前向きに検討していく」という姿勢を明示して当選し、その上で誘致表明をしていたら、私たちがリコール(解職請求)という手段をとるのは難しかったと思っています。「選挙に勝てば何をしてもよい」という振る舞いを許してはならないとの思いから、私たちは林市長のリコールをおこなうことにしました。これが、運動に踏み出した一番の理由です。……

著者プロフィール

廣越 由美子  (ヒロコシ ユミコ)  (

廣越 由美子(ヒロコシ ユミコ)
「一人から始めるリコール運動」代表。林文子横浜市長解職請求の代表者も務めた。3人の子どもを育てながら、2019年には横浜市議会議員選挙に挑戦し次点。その後、子育てと保育士の仕事をやり繰りしながら1年半近くリコール成功のために力を尽くした。運動終了後は、保育士の仕事を増やし、その合間に、教育委員会の傍聴や市政ウォッチを続けている。好きな言葉は「優しさは見えないけれどどこかで誰かを助けている」。

木村 芳正  (キムラ ヨシマサ)  (

木村 芳正(キムラ ヨシマサ)
「一人から始めるリコール運動」を呼びかけ、事務局長に就任。東京都在住。多いときは月に20日以上、受任者募集の街頭宣伝のため、キャンプ用テーブルやスピーカーをキャリアカートにのせ電車で横浜に通った。自営業のかたわら2017年に始まったカジノ・シール投票に参加したことが縁で、廣越由美子さんの横浜市議会議員選挙や林市長リコール運動、林市長落選運動に関わる。好きな言葉は「なすがまま、きゅうりがパパ」。

上記内容は本書刊行時のものです。