書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
邂逅
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2024年5月31日
- 書店発売日
- 2024年6月1日
- 登録日
- 2024年6月6日
- 最終更新日
- 2024年6月6日
紹介
天文宇宙に夢中になった少年時代を経て、日本の原子力事業黎明期に日揮へ入社。京都大学研究用原子炉の導入・運転から韓国・台湾の原子力事業開発まで、技術支援とコンサルティングに従事した半生と、その間に公私共に関わりの深かった人々との邂逅を描く。リタイア後に始めた趣味の絵画作品46点をカラー掲載。原子力事業のあり方に世論が二分される今、現場の当事者目線で記録された事実。
目次
第一章 苗字の由来
第二章 大東亜戦争という悪夢
第三章 初めての上京
第四章 天文を趣味として
(一)天文台物語
(二)ハッブルの偉業
第五章 戦災を免れた大原美術館
第六章 京都嵯峨野、大徳寺聚光院と大和路(奈良)を訪ねて
(一) 京都嵯峨野と大徳寺聚光院を訪ねて
(二) 大和路(奈良)を訪ねて
第七章 原子力の黎明期
(一) 京大研究用原子炉プロジェクトの受注に向けて
(二) 京大研究用原子炉プロジェクトの遂行に向けて
(三) 原子力船
第八章 日本エヌ・ユ・エス(JANUS)の誕生
第九章 邂逅
(一) ロスにて
(二) 香港にて
第十章 エモンズ(Emmons)先生
第十一章 絵を趣味として
(一)絵の鑑賞
(二)勝美会物語
(三)高梨潔先生との出会い
あとがき
前書きなど
1961年10月27日(金) 米国原子力委員会の管理下にあった「オークリッジ核施設」を訪問した。第二次世界大戦中の1943年、オークリッジに4つの施設、即ち、X-10(黒鉛減速炉を運転し、プルトニウムを精製する施設)、Y-12(ウラン235と238の電磁気的分離する施設)、K-25(ガス拡散法によるウラン濃縮施設)及びS-50(液体熱拡散法によるウラン235と238の分離濃縮施設)が建設された。
1950年代~60年代に入り、医学、生物学、化学、物理等の分野に研究をシフトし「オークリッジ核施設」を「オークリッジ国立研究所」と名称変更した。
K-25施設は平和利用のため、1985年迄六フッ化ウランの高濃縮精製を継続した。日本を出発する前に科学技術庁を通してウランの高濃縮施設の見学許可を米国原子力委員会に申請していたが、結局第4エリア(最も機密保護のゆるいエリア)のみ許可された。第4エリアでは、デユポン社(委託運営会社)の研究者から濃縮工程の模型を使って説明を受けた。最もセキュリティがゆるい第4エリアでさえ、我々来訪者がトイレに行く場合、警備員がトイレ迄同行し、外で待機するという厳格な管理下で運営されていた。
(第7章「原子力の黎明期」より抜粋)
版元から一言
本書通読後に映画「オッペンハイマー」を観ると、当時の研究者や政治家、企業担当者の思惑や思考の背景となった時代状況の一端がリアルに理解できるため、映画をさらに味わえます。
上記内容は本書刊行時のものです。